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平成18年の通常国会で、耐震偽装事件を受けて建築基準法の改正が行われ、高度な構造計算を要する
(1) 高さ20mを超える鉄筋コンクリート造の建築物
(2)高さが13m又は軒の高さが9mを超える木造の建築物
(3)地階を除く階数が4以上である鉄骨造の建築物
(4)構造計算をルート2、ルート3で行った建築物
などについては、都道府県知事等による構造計算適合性判定(適判)を受けなければならなくなりました。
大田区では5つの適判機関と契約し、同法を施行しています。
今年の6月20日より施行された上記法に関して、大田区役所審査課に審査課長、構造係長をお尋ねしてお話を伺いました。
【申請件数の推移】
申請件数は下表の通りです。民間機関への申請分を除いた区への確認申請全体でみると、7月には対前年同月比で52.2%減と大きく落ち込んだが、8月には12.2%減、9月は1.7%と回復傾向にあります。
*建築設備・工作物含む。( )内は、建築物。計画変更含まず。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | |
18年度 | 74(58) | 50(44) | 60(54) | 46(32) | 49(35) | 58(46) |
19年度 | 45(35) | 43(35) | 31(27) | 22(13) | 43(35) | 57(49) |
【確認件数の推移】
建築物の確認件数で見ると、7月は対前年同月比で56.5%減と大きく落ち込み、8月も依然56.3%減となっていたが、9月には40.9%と回復傾向にあります。
*建築のみ、計画変更含まず。〔 〕内は、平成18年
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | |
区 | 29〔 59〕 | 30〔 57〕 | 42〔 48〕 | 19〔 49〕 | 17〔 30〕 | 24〔 42〕 |
民間 | 166〔137〕 | 132〔162〕 | 194〔165〕 | 71〔158〕 | 60〔146〕 | 77〔129〕 |
計 | 195〔196〕 | 162〔219〕 | 236〔213〕 | 90〔207〕 | 77〔176〕 | 101〔171〕 |
【施行状況、現状】
現状としては、改正法に基づく構造計算の詳細を示した「構造関係技術基準解説書」が8月中旬に販売され、9月に設計者への説明会が行われたのが実情で、6月20日から即運用といった状況にはなっていないようです。
内容については、構造方針に大きな変化は無いが、手続きについて細かな規制が多くなっており、10月になってからも、細かな追加通知があり変更されている状況のようです。
【実務的な例】
テナントビルの場合:当初は想定の設計図で申請し、テナントが決まり次第、設計変更を提出して対応することになります。
設計変更部分については、手続き中は施工中止となるが、その他の部分については続行可能であります。
なお、全室入居するまでは入居する部分を、仮使用の手続きで使用することは従来どおりです。仮使用の手続きを踏まずに本検査を受けるには、入居しない店舗部分を当初の設計通りに仕上げます。
【不適合通知の扱い】
不適合通知については是正処置の段階は無く、1回で不適合とされる厳しいものです。
【あらかじめ設計】
その他に、あらかじめ設計という手法があり、変更の巾を持たせた方法で、使用メーカーを変更した場合を想定して、使用する可能性がある製品の資料をすべて添付しておく必要があります。
また、杭芯ズレが想定される場合は、その補強方法も盛り込んでおく必要があります。上記を想定しておらず、変更確認が遅れる場合、工事中止の措置になります。
【検査済の扱い】
建築基準法中では必ず検査済証を取る必要があるが、以前はその取得率が低かった。しかし、今では、取引や建築物を証券化等する場合に必要となり、特に銀行融資を受ける物件では必要な場合が多いであろうとのことです。
【業務増大とリスク】
改正により、区の業務として、確認事項が5倍から10倍、時間にして2から3倍程度の増加がみこまれ、それだけも申請業務の増大が予想されます。
今回の改正は、施工業者、監理者のリスク拡大が必至で、建主、施工業者、設計者との密なコミュニケーションが必要になるでしょう。